学び方には学び方がある
というのはご存知でしょうか?
ただ闇雲に取り組んでいた運営者にとっては衝撃的な見出しでした。
ここでの学び方とは、いわゆる座学だけではなく、読書やプログラミング、スポーツなどさまざまなものの学び方です。
生まれつきの遺伝子で、ある程度の才能が決まっているという情報を目にしたことがあります。
しかし、この本でその常識を覆すことができるかもしれません。
この本で、正しい学び方を学び、これからの生活で役立てていきましょう。
著者紹介
バーバラ・オークレー
工学博士。ミシガン州ロチェスターにあるオークランド大学教授。
2018年度ミシガン州優秀教授賞受賞。
世界最大の生体工学の学会、生体臨床医学学会のバイスプレジデントを務めていた。
オラフ・シーヴェ
ノルウェーのオスロにある教育テクノロジーのスタートアップ企業、えデュカスの創業者兼CEO。
2014年には、オックスフォード大学サイードビジネススクールでMBAを極めて優秀な成績で取得している。
訳者
宮本 喜一
1948年奈良市生まれ。
一橋大学社会学部、経済学部卒業。ソニー マイクロソフトを経て独立。
ジャーナリスト、作家、翻訳家。
主な著書
「ロマンとソロバン」
「ソニーは銀座でSONYになった」
などがある。
著書概要
第一刷発行 2021年1月30日
293ページ
発行社 アチーブメント出版株式会社
コンセプト
正しい学び方を学ぶ
対象読者
取り組んでいるものの成果が出ない人
新しいことに取り組む人
ポモドーロテクニック
人間の脳が集中できる時間には限りがあります。
個人差はあれどそれは変わりません。
ポモドーロテクニックは集中力を持続させる手法として紹介されています。
1 勉強する、あるいは仕事をしようとする場所に腰を下ろし、邪魔になりそうなものを排除する。
2 タイマーを25分に設定する。
3 設定した25分間、できる限り徹底して、番協や仕事に没頭する。
4 ポモドーロの時間が終わったら、約5分間の褒美の時間をとる。
5 忠実に繰り返す。
ここでのポイントとして、休憩があげられています。
著者は、休憩は学習したての内容を長期記憶の領域に移すために重要なことであると述べています。
しかし私たちは、この記憶領域に移している感覚を感じ取れません。
よって、休憩の重要性を実感することは難しいです。
しかし、休憩を省略することは禁物であると強調されています。
サイクル化し、過程にこだわる
なぜ25分なのか?
そう思った読者は多いと思います。
しかし、これには科学的な理由がありました。
したくないことに意識がいくと、島皮質という部位が刺激され、頭の痛みの原因になります。
これは20分ほど集中するとなくなるそうです。
著者は、25分という時間は学習モードに入り込むために最適の長さだと科学的理由とともに説明しています。
ただし、この時間は個人差があるので、集中する時間を変更しても良いと説明を続けています。
ただし、休憩することを忘れないことを強調しています。
休憩というとスマホをいじることが一番最初に浮かぶのではないでしょうか?
しかし、著者はスマホをいじることは休憩としては不適合だと述べています。
スマホを触ることによって、意図せぬところで脳を消費しているため、脳を回復させることができていないそうです。
スマホに気が散らないように目の届かないところにおいておきましょう。
マルチタスクは禁物
運営者は、座学の勉強をするときに複数の科目を変えながら学習していました。
一見それは気分転換になり長続きしそうですが、その勉強方法にも苦言を呈しています。
それはスイッチングコストが存在するからです。
スイッチングコストとは、学習するものを変更する場合にかかる脳への負担で、これが無意識のうちに脳に負担をかけているのです。
これは、長く学習することがいかに非効率的かということを表しているように思います。
少なくとも25分間の学習を続けてから、別のタスクに移行することが大切であると述べています。
皆さんは学習中に音楽は聞きますか?
運営者は暗記系の科目は音楽なしで集中して学習し、数学など難解な計算に取り組む場合は音楽を聞くという学習方法をしていました。
リズミカルに計算問題に取り組むことができ、勉強できている気分になっていたからです。
しかし、これも脳の集中を阻害していると述べています。
音楽を再生するときに、頻繁に再生リストや音量をチェックすることになるでしょう。
音楽を聞くことでマルチタスクになっているのです。
加えて、騒音が多い場所での学習も好ましくないと述べています。
そのような場所で勉強せざるを得ない時は、耳栓やヘッドフォンをすることで集中する環境を作ることが大切であるとも述べています。
何もかもが非効率的な環境だったと思い知らされました。
集中モードと拡散モード
脳にはモードがあることはご存知でしょうか?
いろんなメディアで放送されているので、ご存知の方もいるかと思います。
しかし、詳しい内容はあまり知りませんでした。
それを詳しく説明してくれています。
両者をまとめるとこうです。
集中モード: 何かに集中している時
拡散モード: 移動中、眠りにつく時
の両方をうまく利用することで、違ったアイデアを結びつけられます。
悩んでいるなら、とりあえず寝ろという無責任な言葉には科学的な根拠がありました。
寝る前の単語学習が効率的だという意見は、睡眠という拡散モードに入る前に集中することで、記憶の定着がより強固なものになるということです。
隙間時間を活用した学習方法が身についている人は、自然と効率的な学習ができているということでもあります。
日常生活に学習を入れていくことで、自然と拡散と集中のサイクルが完成するのです。
難しい内容を学習するとき
難しい内容を学習するときは、一見関係のない知識と結びつけることが大切であると著者は述べています。
記憶を呼び起こす際に、色々な角度からその情報にアクセスできることが重要ということです。
運営者の学習例では、TOEFLや、英検一級レベルの英単語の勉強をする際に、関連語句や、似たような綴の語句を同時に記憶するようにしていました。
英検一級レベルとなると単語量約14000語と莫大なものになってくるので、一つ一つの単語を覚えるという勉強法では、間に合わなくなってきたからです。
・日本語訳が同じの単語を並べてセットで覚える
例 remember store :記憶する
・接尾辞 接頭辞の特徴を覚える
例 頭文字がinは否定の意味、語尾がlyは副詞が多い(例外あり) など
・似た単語をセットで覚える
例 intuition :直感 instinct :本能 など
色々な引き出し方を持っておくと、記憶する負担も軽減されるということを身に染みて感じました。
意欲とは作り出すものである
新しいことをする際に、やる気が出ないという悩みを抱えている人はいますか?
やる気を出させる方法の色々な本が出版されています。
しかし、意欲とは
それに対して、どれほど強い欲求があるかではなく、それを手に入れるためにどれだけ努力したか
だと著者は述べています。
また、それを維持するために、それを達成すると自分にどんな良いことがあるのかを思いつく限り書き出してみることが大切である。
と意欲の継続方法も示しています。
目的を達成することで得られるいいことをたくさん書き出すことで、それを達成することで得ることができる様々なメリットを常に意識することができます。
それにより、意欲を維持することが可能であると述べています。
加えて、目標設定の際に、あまりにも遠い目標を設定することではなく、それまでの過程を細分化し、小さい中間地点を通過していくことで、より現実的なものにするということです。
これは、中田敦彦さんの著書にも書かれていた、中田さんが受験時に行っていた勉強方法と全く同じです。
こちらの書評も合わせて読んでいただきたいです。
運営者は、努力できることも才能であるという言葉があまり好きではないです。
なぜなら、それは努力をしない人が自分を正当化するための言い訳に感じるからです。
努力できる人はその才能が備わっているんだ、自分たちとは違う次元の人だと諦めてしまうのは自分の可能性を狭めていると思います。
常に目標を定めて、自分のできる限りを尽くすことが大切だとこの本から学びました。
最後に
この本は、科学的に実証された脳のデータを用いて、脳を最大限活用するにはどうすれば良いかを様々なテクニックとともに紹介しています。
それは、今までの思い込みとは異なったものばかりでした。
正しい学び方を学ぶことでより効率的に、これからの学習をより実りのあるものにすることができます。
この本は、たくさんの情報を含んでいました。
まだまだ紹介しきれていないテクニックもあります。
変動する現代社会についていくため日々学ばなければいけない私たちにとって、そのヒントを与えてくれる本でした。
ぜひ手に取っていただきたい一冊です。