嫌なことから逃げろ
そんな言葉からこの本は始まります。
みんな頑張っているんだから
と努力を強要してくる人がいると思います。
しかし、嫌なものは嫌です。
したくないならしなくても良いんです。
そういった生き方を選択した著者が新しい働き方を教えてくれます。
著者紹介
えらいてんちょう
本名:矢内東紀
1990年東京生まれ。
朝起きるのが苦手だったため、就職せず、なんの計画もないまましょぼく企業。
慶應義塾大学経済学部卒業。
2015年10月、初の実店舗としてリサイクルショップを開店。
その後、事業を拡大。
「しょぼい起業」をしたい若者たちのためにフランチャイズ化。
投資家。コンサルタント。
著書概要
第一刷発行 2018年12月25日
238ページ
発行社 株式会社イースト・プレス
コンセプト
嫌なことをしない生き方
対象読者
起業に興味がある人
現在の働き方に不満がある人
とにかくお金をかけない
起業というとなにを想像しますか?
莫大な初期投資がかかる?
一種のギャンブルじゃない?
とあまり良いイメージを持たないかもしれません。
しかし、著者はそういった考えは間違っていて、
銀行にお金を借りに行って、資金を集める必要はないと述べています。
どういうことでしょうか?
ここでのキーワードは
いつもやっている行為をお金に変える
ということです。
ここで著者は実体験をもとに、いつもやっている行為をお金に変えるアイデアを説明しています。
私たちは、毎日食事をします。
一人暮らしで自炊をしている場合、一人分の材料を購入し、それを調理します。
ここで、10人分の食材を購入し、調理するとします。
材料費はそれだけかかるかもしれませんが、10倍の調理コストがかかるわけではありません。
それを、近所の友人に売りに行くとすると、少ない労力でお金を得ることができます。
これがしょぼい起業のマインドだと語ります。
運営者は、毎日テレビゲームをします。
単純に好きだからです。
ただやっていると自分だけの楽しみで終わり、お金は発生しません。
ここにどう付加価値をつけ、お金を生み出すかということです。
それが、プロゲーマーになるまで突き詰めるのか、ゲーム配信、ブログで広告収入を得るのか
さまざまな働き方が発想できます。
生活の一部になっているものは、どんなに忙しくてもそれをしないという選択肢はありません。
何か生活の一部をお金に変えることはできないかと考えることが大切だと学びました。
下手な鉄砲を撃ちまくる
運営者は、起業するなら綿密な事業計画を立てる必要があると思っていました。
しかし、著者は色々やっていくことが大事だと述べています。
今のスキル、資金でできることを色々やっていく方がリスクが少ないからです。
経営するとなると自分自身が商品となります。
完璧なサービスを提供するのではなく、自分に会いたいからお客さんが来てくれるという形を作ることが理想だと語ります。
その例としてスナックを挙げています。
日本中に無数のスナックが存在しています。
完璧なサービスを提供している店にお客さんが一極化しても不思議ではありません。
なぜそうはならないのでしょうか。
スナックにはいわゆるママという人が存在し、その人柄に惹かれたお客さんが来てくれているのです。
完璧なサービスを提供するというのは不可能に近いですし、そういうことは規模が大きいほど有利になってしまいます。
そうではなく、自分をブランディングすることが大切であることを学びました。
広告費は必要ない
しょぼい起業では、莫大な広告費はかけられません。
そこで、クチコミを利用することを著者は述べています。
これは、文字通り口から口へ伝わるということです。
その方法として、店頭で不用品を無料で提供することを提案しています。
ここで大切なことは、店頭まで実際に足を運んでもらうことです。
店頭販売している店にとって、一番大事なことはお店にお客さんが足を運んでくれることです。
無料で不用品がもらえるということが広まれば、人が集まり、ついでに店の中を覗いてくれます。
どちらにとっても、メリットになるのです。
また著者は、店から徒歩圏内の人に宣伝することも重要な広告であると述べています。
住宅地に経営するしょぼい起業の商業圏はせいぜい徒歩圏内です。
付近を歩く人と仲良くなって、広めてもらうことがより効果的な広告となります。
広告宣伝費は、足と愛想でなんとでもなるということです。
私たちが頻繁に利用するどのサービスでも、広告をよく目にします。
なので、企業をやりくりするためには、広告費を費やすことが必要不可欠であると思っていました。
その固定概念は間違っていることを学びました。
しょぼい喫茶店
この本で、しょぼい起業の実例としてしょぼい喫茶店の話が語られています。
しょぼい喫茶店は、一人の学生が、自分は勤め人には向いていないので、起業したいという考えから始まりました。
コーヒーが好きで、その知識を活かしてなどという理由ではなく、自分や、自分の周りにいるやりたいことをやっている人のために作られたものでした。
やりたいことを追求するだけで成功する簡単な世の中ではありません。
そんな日の目を見ることのない人が、自分のやりたいことをやっていけるような場所を提供し、そこを喫茶店にしよう
ここには、お金を稼いでやろうなどというマインドは存在せず、
生きていく居場所を提供したい
そんな考えです。
運営者は、それで、やっていけるのか?と疑念を持ちました。
しかし、実際に成功しています。
なぜなのか?
それを次で説明します。
人が出資する理由
しょぼい喫茶店を出店するために、一人の学生は出店場所を探しました。
しかし、自分で貯めた初期投資費用では払うことができませんでした。
そうなると
出店を遅らせてお金を稼ぐ?
場所を変える?
などと普通なら考えてしまいます。
しかし、彼は出資してくれる人をSNSで募集しました。
なんの経験もない一人の学生がです。
そんな人に出資者が手をあげてくれるはずありません。
しかし、実際に見つかりました。
なぜでしょうか?
それは、著者であるえらいてんちょうさんが、彼の出店理由に共感し、そういう若者に興味のある出資者に紹介したからです。
この話から、投資する理由はお金を稼ぐ力がある人だからという理由だけではないことがわかります。
面白い
応援したくなる
ような目的を持っていることが大事だということです。
実際に、出資した方も自分の居場所がなかなか見つけられない人生を送ってきたらしく、若い頃の自分を見ているようだからという理由でした。
人が動く理由は、どこに落ちているかわかりません。
そのために、どんな形であれ自分から発信し、自分を知ってもらうことが大切だということを学びました。
就職したくないなどとわがままを言ってもいいのです。
ただ、自分が就職の代わりにどんなことに興味がありますということを知ってもらうことが大切だと思いました。
運営者も少し自分の話をしようと思います。
運営者は今学生ですが、著者や、この学生と同じような考えを持っています。
運営者がしたいことは無駄を提供することです。
無駄なことはネガティブなイメージがあります。
しかし、無駄は余裕のある人にしか感じられないと思います。
これ無駄だなあと微笑むことは、素晴らしいことです。
高級な飲食店に行くほど無駄におしゃれに飾り付けられ、無駄にクオリティの高いクソゲーなども面白いと思います。
昨日、無駄に編集したRPGお出かけというものを作ってみました。
絶対に無駄な作品です。
ただ、なぜか面白いと感じてしまいました。
こういう無駄を追求していきたいです。
終わりに
運営者の父親も祖父も起業し、成功しています。
なので、運営者にとって起業は身近なものでした。
将来的に、自分も起業したいという考えはあります。
しかし、二人のようにうまくできる自信はありませんでした。
新しいものを提供しなければならないと凝り固まった考えを持っていたからです。
しかし、この本を読んで起業のイメージが少し柔らかいものに変わりました。
起業したいけれど、イメージがつかない方の不安を取り除いてくれる本だと感じました。
ぜひ手に取っていただきたい一冊です。